上白石萌音の演技(表現)力は言語学にあった【スイッチインタビューEP1】

俳優
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こんにちはラクエンです。

前回の記事でスイッチインタビューEP1の紹介をしましたが、実際の放送内容は興味深かったですね。

なので、今回はスイッチインタビューEP1の感想を記事にしてみたいと思います。

番組では「千と千尋の神隠し」が文化や言語の違うロンドンでも評価されていて、上白石萌音さんの演技力や表現力と言語学の関係を解き明かす内容になっていました。

この記事で紹介したい内容としては、上白石萌音さんが「千と千尋の神隠し」で気づいたことを川原繁人先生がデータで解き明かすところから始まります。

そして、言葉が持つ知られざるパワーを実感したうえで、上白石萌音さんがことばに魅力を持つようになったエピソードや方言のもつ発音の魅力やなぜ歌だと心を動かすことができるのかなどを興味深い内容で楽しくわかりやすい例などです。

それでは興味のある方は最後までお付き合い下さい。

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上白石萌音が舞台「千と千尋の神隠し」で気づいたこと

舞台には演出として決まっているシーンと自由なシーンがありますが、上白石萌音さんは自由なシーンは『日々変えている』そうです。

例えば、同じ役を演じるのでも、「千と千尋の神隠し」の場合、同じ役柄のキャラクターを日々違った役者が演じるため組み合わせも違ってくるそうです。

そうすると、組んだ役者さんによって『生の化学反応』としての感情が生まれると言います。だから何回も演じていても『毎回ぜんぜん違う』(ものを伝えられる)ものを作っていけるのが舞台の面白さだと言います。

役者さんだけではなく、観に来てくれたお客さんによって生まれるものも演技を作っていくそうです。

静かなシーンでお客さんが鼻をすする音が聞こえるとそれが切っかけになって違う方に感情がむいていったりとか、ちょっとセンチメンタルになったりとか、舞台の上だけで行われているんではなくて『空間全部で作ってるって感覚』

上白石萌音さんは人の感情に耳を傾ける特別な感性を持っていて、その感性が上白石萌音さんの演技に取り込まれるからこそ、目の前で演じられているその空間でしか味わうことの出来ない生の感動を味わえるのかもしれないですね。

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上白石萌音の声の実験:『萌音と千尋のこえくらべ』

川原繁人先生は対談の前に、上白石萌音さんの声のサンプルを入手して分析を行ったそうですが、その結果が驚くべきものでした。

そのレポート名は『萌音と千尋のこえくらべ』

これには上白石萌音さんも爆笑してくれて川原繁人先生も『つかみが取れた』ことでほっと一安心の様子。

このレポートでは、舞台の冒頭で演じられた『嫌々引っ越しをする小学生の千尋が友達からの別れのメッセージを読む場面』のセリフを、「千尋のセリフ」と上白石萌音さんの普段の「話し言葉」の音声サンプルから、上白石萌音さんが舞台で伝えたかったことを解析するものです。

放送された実際の解析結果がこちら

この音響解析から川原繁人先生は何が気になったかというと、「さびしくなるよ」の「び」の発音!?

破裂音の「び」を発音する時は、普通は口を閉じるのですが、千尋のセリフでは「び」を発音する前に口を閉じきっていないことに着目したそうです。

この解析結果から「千尋が口を閉じるのもめんどくさいぐらいの表現をしているのかな?」と分析!

すると、番組で上白石萌音さんが舞台での感情を解説してくれました。

これは一言目のセリフで、千尋が引っ越しをしてお友達と離れて新しいところに行くと言うところなんですけど、とにかく『行きたくない』っていう気持ちでいつも舞台に立っていて、なので、ここはなるべく『全部の力を抜いてやろう』と思っていて何も筋肉を使わずにしゃべりたいなと思ってます

まさに上白石萌音さんが表現したかった感情が川原繁人先生の分析通り『データ化』されていることにかなり興味を示されていましたし、他の音響解析からも上白石萌音さんが千尋に込めた感情を見事に分析で解き明かしたことに凄く興奮した感じでした。

本当にお芝居は正解がないですし、確かなものがないんですよ。でもこういうもの(分析結果)がでてますよと言われるとすごく安心します。
私胸張ってやれます。
私は科学的に裏付けされました

と自信を持ってコメントされていたのが印象的でした。

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上白石萌音が言語(ことば)と出会ったきっかけ

上白石萌音さんは小学校低学年だった時に地元鹿児島のミュージカル教室の定期的な公演で『あしながおじさん』が演じられた時、孤児の役で「あーあ ママがいきててくれたらな…」という短いセリフをもらったことがあり、その演技のために何ヶ月も命を掛けていたそうです。

この演技をするために「こういう言い方をしたら、相手にはこう聞こえるな」ということを、毎日毎日繰り返し何回もやったそうですが、それが初めて言葉と正座で向き合った原体験になったと言います。

その後、メキシコに引っ越して経験の無かったスペイン語に触れたそうですが、そこでも上白石萌音さんは『言葉』に関わるたくさんの成功体験をしているとか。

覚えるのが早くて現地の人から上手だねって褒めてもらったり、早口の店員さんの言葉を家族で上白石萌音さんだけが聞き取れたり、通っていたスペイン教室では3年目で上級クラスに入れたときに「こんなの初めてだよ」って言ってもらったりしたそうです。

それで、上白石萌音さんは『言葉』が楽しいと思ったことがきっかけで「私は言語が好きだ!」と幼いながら感じるようになったそうですね。

そんな経験をしてきたからこそ、小学校6年生で帰国してからも英語を勉強したり本をより読むようになり、帰国して次の年からお仕事として芝居や歌などを始めたときも、『言葉』をすごく大切にする作品との縁が多かったことで、「やっぱり言葉が好きだな 楽しいな もっと知りたいな」と思うようになっていったんだそうです

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上白石萌音の方言との向き合い方

上白石萌音さんは方言にも大変興味を持っていて「大好き」なんだとか。

例えば、鹿児島の友だちに会った時に東京の方言を使ってくれる時があるそうですが、上白石萌音さんとしては友達との会話では鹿児島弁を話したいので、あえて「濃いめの方言(鹿児島弁)」をぶつけて鹿児島弁での会話を促すようにしているそうです。

芝居でも方言を話す役柄が多いことにとても満足しているそうで、(鹿児島弁だけではなく他のどんな地域の方言でも)「方言がある役の方が好き」だそうです。

方言や外国語で苦労している役者さんが多い中で「方言がある役のほうが好き」と心の底からいえる役者さんてあまりお会いしたことがないので、純粋に凄いと思える役者さんですね。

セリフを覚えるための台本の使い方も独特で、セリフに◯やニョロを付けて、発音の強弱や感情表現を一目でわかるようにしていつも練習をしているそうです。

(役で方言のセリフをやる時は)音声データで(サンプルを)もらうけど、それは正しい方言 スタンダードな高低差がまずくる。でも、普段喋っていてもそうですけど、感情とかテンションによってその(高低差の)幅って変わるじゃないですか?そこの調整をするのもすごく面白くて、もっとテンションを上げて言いたいんですけど「この幅で言っちゃったら違和感がありますか?」ですとか、そのすり合わせをするのがすごく面白いです

上白石萌音さんはこのようなことをすり合わせる時に音声学は役者の助けになりそうとコメントされていました。

ここまで来ると、人間国宝レベルの探究心のようにも思えます。

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上白石萌音さんが歌で伝えたいこと

歌や踊りは体が先に動いてしまうような「気持ちが言葉を追い越すこと」の延長線上にあって、言葉になる前の気持ちとか言葉では足りないものを伝えられると感じているそうです。

上白石萌音さんは喋るときと歌う時での息の使い方の違いにも着目されていました。

例えば、「苦しくて吸う息」と「うれしくて吸う息」は音として違っていて、それによって伝えられることもすごくたくさんあるそうです。

その息の使い方で感情が伝わったときには心を動かされることもあると言います。

それを受けて、川原繁人先生は

息遣いひとつにもたくさんの情報量が詰まっている、そこをちゃんと感じ取れると人間はもうちょっとわかり会えると感想を述べられていましたが、全く違う分野の仕事のように見えて同じ領域で心からの共感をされているのがとても印象的でした。

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上白石萌音さんが言葉に対して想うこと

さらに川原繁人先生はこんなことを感じているそうです。

私の好きじゃない言葉に「語彙力足りない」というのがあるんですよ。
感動した時に「やばい!」というのを語彙力足りないと批判する人もいるんですけど、でも冷静に言語化する前の感情を否定するのもどうかなと

それを受けて上白石萌音さんが「言葉をどれだけ豊富に持っているかよりもどう使うか」ということの重要性を、「小さい子供は語彙力が少ないけどびっくりする感情表現をするけど、おとなになると表現が不自由になっていると感じている」という絶妙なたとえで共感されていました。

だからこそ、言葉にできない気持ちもすごく尊いし、なんとか言葉にしようとするのもすごく素敵なことだと改めて感じていたことに、川原繁人先生は全力で共感されていたのも印象的でした。

そして、上白石萌音さんと川原繁人さんの今回の会談での結論は

伸ばすべきは語彙力ではなくて表現力と感性

に落ち着いたようです。

一言で言ってしまうとちょっと漠然として分かりにくいですが、『言葉』は感じる気持ちや息遣いなどいろいろなことを伝えて感じ取ることができます。

でも、言葉を発する側は伝えたいことをしっかり伝えるための『表現力』が必要だし、言葉を受け取る側は言葉に込められたメッセージを正しく受け取る『感性』が必要です。

このどちらが欠けていても、『言葉』に込められたメッセージの多くは失われて上辺だけの理解しかできなくなります。

なので、『言葉』の凄さを知り尽くしている上白石萌音さんと川原繁人先生は、『声で話したい』という意見で締めくくられました。

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上白石萌音の言語学まとめ

上白石萌音さんと川原繁人先生の対談を通して言語学について見てきましたが、いかがでしたでしょうか?

  • 上白石萌音が舞台「千と千尋の神隠し」で気づいたこと
  • 上白石萌音の声の実験:『萌音と千尋のこえくらべ』
  • 上白石萌音が言語(ことば)と出会ったきっかけ
  • 上白石萌音の方言との向き合い方
  • 上白石萌音さんが歌で伝えたいこと
  • 上白石萌音さんが言葉に対して想うこと

今回はとても興味深い内容でしたので共有させていただきました。

それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。

川原繁人先生についての記事はこちら

川原繁人(言語学者)の声の著書が話題!経歴や年収、妻や息子は?【スイッチ】
川原繁人先生は声や聞こえ方についての研究を行う言語学者で、著書『フリースタイル言語学』で知られる。上白石萌音さんとの対談で彼女も彼の著書を読んでファンになったと語っている。川原繁人先生の研究内容、経歴、年収、家族(妻や子供)についても紹介。

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